ひとことに“日焼け”といっても、よい日焼け(=サンタンニング)と悪い日焼け(=サンバーン)の2通りがあることを知っていますか? その差は、まさに天国と地獄……。日本では、このふたつを区別することなく“日焼け”のひとくくりで片付け てしまいがちですが、それは大きな間違い。正しい知識を身につけて、上手に日焼けしましょう。
まずは、よい日焼け。これを「サンタンニング」と呼びます。日光を浴びることによって生まれるメラニン色素を、肌にムリなく自然に定着させること。皮膚表面の細胞組織に負担をかけないように、段階的に日光を浴びながら、徐々に美しい小麦色の肌に仕上げてゆくことを指します。
反対に、悪い日焼けを「サンバーン」といい、急激に強い日光を浴びたために皮膚の表面組織がヤケドして炎症に発展した状態を指します。これは厳密には、とても“日焼け”とは呼べないかも知れません。バーンとは「ヤケド」を意味するコトバだからです。こうなるとメラニン色素は肌にきれいに定着することができません。ヤケドによって死んだ細胞はやがて剥がれ落ちますが、厄介なことにシミの原因となるばかりか、度が過ぎれば皮膚ガンのリスクさえ生じてしまいます。
せっかちにならないこと。小麦色の肌を1日で手に入れようとは思わない、ということです。日光浴の初日は短時間にとどめておき、2日目には少し長く…という風に、徐々にあなたの肌を日光に慣らしてゆきましょう。具体的には、焼き始めの段階では午前10時〜午後3時の日光を避ける、という方法があります。この時間帯は、1日のうちで最も紫外線が強いため、肌への負担が大きいからです。ダメージを最小限に抑えたいなら、時計の針が午前10時を回る前か、あるいは午後3時を回ってから日光浴するようにしましょう。 インドアのサンベッド(=日焼けマシン)を利用して、あらかじめしっかりした下地をつくっておくのも賢い方法です。
環境汚染によって、若い男性の精子の数が減っている……。ひと頃、ブームのように騒がれたので注目した人も多いのでは? ここへきて、この謎多き現象に歯止めをかけるかも知れない救世主的存在が現れて話題を集めています。救世主とはズバリ、煌々とまばゆい“光線”のこと。
話題の出処は、カリフォルニア大学で行われた実験。これは光線浴が人体のホルモン分泌に及ぼす影響を調べる、というもので、19歳から30歳の11人の男性が被験者となって実施されました。
1000ルクスの極めて強い光と10ルクス以下の弱々しい光……。それをそれぞれ早朝5時スタートで1時間ずつ、5日間に渡って彼らに浴びてもらったところ、黄体形成ホルモンの分泌に劇的な差が現れたといいます。弱々しい光の場合は何の変化も見られなかったのに対し、1000ルクスの強い光を浴びたケースでは、なんと69.5%(!)も分泌量がアップ。この黄体形成ホルモンは、男性ホルモンの分泌を促す物質として知られています。環境のメス化に、文字どおり“光明”が見えた?
※参考文献=「ニューロサイエンスレター;341,2003」
紫外線はガンやシミ、シワの原因になるのでほんのチョッピリでも浴びない方がいい……。日本人の多くがそう思い込んでいます。確かに、過度の紫外線は健康に害を及ぼします。けれど、まったく浴びないでいいのか…といえば、それは大きな間違い。適度な量の紫外線は、私たちの身体機能に様々な影響を及ぼし、健康を維持する上でなくてはならないものです。太陽光線に含まれる紫外線は、その波長に応じて大きく【A】【B】【C】の3つに分けられます。それぞれの働きについて見てみましょう。
気管の上部にあるホルモン分泌腺のひとつ「甲状腺」は、新陳代謝や発育などに重要な影響を及ぼす部位です。太陽光線に含まれる紫外線には、ここを刺激することによって代謝を活発化させ、カラダに溜まった余分な体脂肪の燃焼を促す作用があります。家畜などの動物を飼育する場合に、屋内で育てるより、屋外の日光のもとで放し飼いにした方がより筋肉が締まってぜい肉がつきにくいのはこのためです。適度な日光浴は、スリムなボディづくりにひと役かってくれます。
※参考文献=「LIGHT」(by Jacob Liberman/Bear&Company Ink 1991)
太陽の匂いのする小麦色の肌……。私たちがそこに抱くイメージは“健康的なセクシーさ”のひとことに尽きるでしょう。では、なぜ日に焼けた肌は色っぽく感じられるのでしょうか? ボストン州立病院が、太陽光線に含まれる紫外線が私たち人間の性ホルモンの分泌にどんな影響を与えるかを調べる…という、ちょっと変わった実験を行いました。その結果、紫外線を浴びると男性ホルモン(アンドロゲン)の分泌が120%(!)もアップすることが判明しました。さらに、女性ホルモン(エストロゲン)も大幅に増加することが分かったそうです。特に、女性の場合は、エストロゲンの分泌量が増えるほどにセクシーな魅力がアップするそうです。
そもそもホルモンとは、ギリシア語で「呼び覚ますもの」という意味です。女性ホルモンの場合は、一生のうちに分泌されるのはスプーン一杯ほど。これだけの微量で女らしいカラダつきをつくったり、毎月の排卵リズムを整えたり……。こんな大きな威力を発揮する化学物質は、人体中ではちょっと他に見当たりません。
※参考文献=「LIGHT」(by Jacob Liberman/Bear&Company Ink 1991)
1982年、英国の医学誌「ランセット」誌上でのこと。発表したのは、イギリスのロンドン衛生熱帯医学校とオーストラリアのシドニー大学の研究グループです。どんなタイプの人々により多く皮膚ガンが起こるかを調べるために、生活パターンや職業を徹底的に追跡調査したところ、屋外でよく日光を浴びている人よりも、日中ほとんど日光に当たらないオフィス勤務者に皮膚ガン患者が多いことが判明しました。
研究グループのヘレン・ショー博士によると、オーストラリアやイギリスの場合、日光浴と無縁のオフィス勤務者の皮膚ガンの発生率は、日光浴をする人に比べて、実に2倍(!)近くにまでハネ上がるとか……。適度な紫外線浴は、むしろカラダの抵抗力を高め、皮膚ガンの発生を抑制する方向に働くといいます。
※参考文献=「LIGHT」(by Jacob Liberman/Bear&Company Ink 1991)
肺炎や結核などの感染症が戦後になってグッと減少したのに対して、反対に、日本で急速に増えてきた病気のひとつに「心臓病」があります。原因は食生活の西洋化だろうといわれています。死因のトップのガンで命を落とす人が、毎年30万人。心臓病の場合は、ガンの約半数の15万人が犠牲になるというから、そのパーセンテージは相当なものといえるでしょう。
心臓病を引き起こすとされる血清中の脂肪が、太陽光線に含まれる紫外線を浴びると劇的に減少する、という驚くべきデータがあります。脂肪は、脂肪酸とグリセリン水酸基が結びついてできますが、私たちのカラダがこれを分解する際に紫外線の力を借りる為ではないか…?と考えられています。
紫外線は、血液中のコレステロール値を強力に抑えるパワーも秘めています。循環器障害を抱える被験者を対象にした紫外線の照射実験の結果、わずか2時間のうちに患者のほぼ全員のコレステロール値が一気に12%もダウンしました。しかもその効果は決して一時的なものではなく、被験者の86%が24時間経過した後もそのレベルを持続したというから驚きです。
20人の被験者を対象に、太陽光線に含まれる紫外線を照射……。その後に、心臓の働きにどんな影響が現れるかを調べた結果、うち18人の心臓に劇的な変化が表れることが判明! 彼らの心臓は、実験前に比べて約38%も血液の搏出量(=送り出す量)をアップさせたといいます。つまり、光線(=紫外線)が心臓を強化した、というわけ。
※参考文献=「LIGHT」(by Jacob Liberman/Bear&Company Ink 1991)
地上に到達する太陽光線には、赤外線、可視光線、紫外線の三つの光線で構成されています。それぞれの光線は異なる特性を持っていて、光の明るさは可視光線によるものです。赤外線には温熱作用があります。紫外線は生物の生理活動に深く関わっています。紫外線はまた、A・B・Cの三段階に分類され、それぞれ異なる性質(作用)をもっています。
温熱作用があります。
明るさがあります。
UVAは、細胞の物質交代の進行に関わり、細胞の機能を活性化させます。
また、UVBによって生成されたメラニン色素を酸化させて、褐色化させます。
体の生理活動にさまざまな関わりをします。
体内でのビタミンD(D3)の生成に関わります。
免疫力を強化します。
皮膚の色素細胞(メラノサイト)を刺激してメラニン色素の生成を促します。
角質を太らせる作用をします。
多くのホルモンの生成と、その分泌に関わります。
強い殺菌力があります。
しかし、大気圏のオゾン層に吸収されて、地上には到達しません。
人間の体にはボデイリズムという、一定のリズムがあります。朝目覚めて、夜眠るのは、日の出から日没までの太陽の日周リズムに影響されてできたリズムです。そのリズムには、光の強さ、光のスペクトルも関わっています。生体活動の中で、食物の摂取、水分の消費、体温、ホルモン分泌、排卵、その他の多くの基本機能が、日照リズムの影響下にあります。
太陽光線は自律神経のリズムにも関わっています。自律神経は交感神経と副交感神経の2つの機能に分かれ、体の器官や生命機能をコントロールしています。交感神経は体を活動させる役目を、副交感神経は体を休ませたり、睡眠に誘う役目をしています。 光線の刺激は、目と皮膚の神経終末から脳に伝わり、脳で生理学的、生化学的な反応が引き出されます。強い光が脳を刺激すると、神経伝達物質のセロトニンが分泌されて、自律神経が交感神経に切り替わり、意識と体が活動方向に導かれます。逆に、光が弱まるとメラトニン(睡眠誘導物質)が分泌されて、自律神経は副交感神経に切り替わり、意識と体は睡眠に導かれます。
このところ、日本でも軽度ウツ症候群や、季節性ウツ病(SAD)が増加しています。
SADは、冬になると起きる症状ですが、それは太陽光線の減少によって起きやすくなります。体が浴びる光線量が多いと、意識と体を高揚させるセロトニン(ホルモン)がたくさん分泌されますが、太陽光線の量が減少すると、セロトニンの分泌量が減少して、逆に、意識と体を休養モードに切り替えるメラトニンの生成量が多くなります。そのため、気力が低下し、脳と体は半民状態になります。そうした状態を繰り返していると、ボデイリズムが正常に刻めなくなり、ウツ病になっていきます。
ヨーロッパやアメリカでは、ウツ病の治療に光線療法が利用されています。一日の中で、ボデイリズムが高くなっていく時間帯(朝と夕方)に、強い光線を30分〜1時間づつ浴びることで、セロトニンの分泌量を高めて、ボデイリズムを再生させようというものです。
サンベッドの光線を浴びた多くの人々が「気持ちがスッキリして、元気回復…」と答えるのは、セロトニンの分泌が高まったことによります。
国際線のパイロットなどが「時差ぼけ」を治す方法の一つとして、サンベッドの光線を浴びています。サンベッドの光線には、晴れた日の昼頃と同じだけの明るさがあります。現地の昼の時間帯に強い光線を浴びると、セロトニンの分泌が高まり、体内時計が現地の昼時間にリセットされます。 昼間のセロトニンの分泌量が多いと、それに比例して夜のメラトニンの分泌量が多くなるので、ぐっすり眠ることができます。
寝つきが悪い、夜中に目が覚める、眠りが浅い…などの、睡眠不良を訴える人が多くなっています。とくに更年期世代や中高年世代に増えていますが、これもまた、ボデイリズムの狂いによって起きる現象です。
ヨーロッパやアメリカの中高年世代は、昼の日光浴や、ゴルフなどのアウトドアスポーツで太陽を浴びて、睡眠不良を防いでいます。
日光浴の習慣が無くなった日本ですが、最近、睡眠不良の改善のために、1日2回、光線を浴びる治療法が、幾つかの国立大学付属病院で実施されています。
日本では、不眠症の治療に、睡眠薬の処方が大半ですが、睡眠薬ではボデイリズムは改善できません。また、睡眠薬が無ければ寝付けなくなる、睡眠薬依存症に落ち込ませてしまう恐れがあります。
日光浴によるダメージを少なくするためには、食物の栄養成分を利用する方法があります。 よく知られているように、ビタミンCやベータカロチンには、肌のダメージを修復してシミを予防する力があります。日光浴の後のメラニン色素の過剰な増加を抑制する働きもあるので、ぜひ摂るように心がけましょう。 また、タンパク質とビタミンB群を豊富に含む食べ物をコンスタントに摂ることも大切です。具体的には、牛肉やレバー、腎臓などのモツ類が有効。これらがあまり得意じゃなくて…という人には、手軽に服用できるタブレットも強い味方になってくれます。ビタミンB2はじめ、ニコチン酸を主としたビタミンB群を常用タブレットとして愛用すると皮膚の抵抗力が格段にアップします。
食べ物とタブレット。いずれの場合も、リゾートで日光浴するひと月ほど前から実践するようにしましょう。あなたの肌に自然に効果が現れてくるのは、大体、それくらい続けた後から。美は一日にしてならず、というわけです。
※参考文献=「美容のヒフ科学」(安田利顕著/南山堂刊)
私たちの地球は、太陽から1億5000万km離れた真っ暗な宇宙空間に浮かび、太陽の周りをゆっくりと公転しています。この“1億5000万km”という距離には、光の奇跡としかいいようのない深い意味が隠されています。そこに200万km(=北極〜南極までの距離を200倍ほど…)をプラスしただけで地上は「氷の世界」と化してしまい、反対に、800万kmほど太陽に近ければ火炎地獄となっていたはず……。
水が、凍ることなく、また蒸発することもなく流体のまま存在できる公転領域を「オービタルゾーン」といいます。直訳すれば、生命の領域。私たちの住む太陽系宇宙の場合、ちょうど太陽から1億5000万kmの軌道上にそれがありました。地球がピタリとそこにフィックスした、というのはひとつの奇跡かもしれません。
太陽の発する光線は、ボディリズムの調整/免疫力の上昇/栄養成分の吸収率アップ/ホルモンバランスの調整など、カラダの生理活動を維持する上で重要な役割を果たしています。すべての生命にとって、その発祥の時点から太陽はなくてはならないものだった…という点を考えると、それはごく当たり前のことといえます。
最近どうも、些細なことでイライラする…というあなた。カルシウム不足を疑ってみては? 食事ではきちんと摂ってるはずなのに…という場合には、カラダの吸収力がダウンしてるのかも知れません。
年配の被験者数人を対象に、きちんとカルシウムを摂取してもらった後で、紫外線を含む太陽光線に近い光線のもとで生活するグループと、まったく紫外線を浴びないグループとに分けて、体内のカルシウム吸収率を比較する、という面白い実験が行われました。その結果、紫外線を浴びなかった被験者では通常より25%もカルシウムの吸収効率がダウンしたのに対して、紫外線を浴びたグループは15%もアップしました。+−すると、実に40%(!)もの大きな開きが生まれたといいます。
私たちが食べものからカルシウムを吸収する際に不可欠な栄養素に「ビタミンD」があります。実は、太陽光線に含まれる紫外線は、皮膚に蓄えられたビタミンDの前駆体を活性ビタミンDに変える働きをします。そして、ビタミンDによってカルシウムがより吸収されやすくなります。これらの栄養素を効率良く吸収し、かつ十分に機能させたいなら、ぜひ、適度な日光浴をおすすめします。
※参考文献=「LIGHT」(by Jacob Liberman/Bear&Company Ink 1991)
疲れやすさや病気、やる気の低下など、様々な体調不良の元凶が1日のボディリズムの乱れからくる場合が多いことはよく知られています。厚生労働省の調べによると、夜10時以降に起きている人の割合は、昭和35年時点では34%だったのに、平成14年にはその倍以上の79%にも達したということです。現代人の生活リズムがいかに乱れてきているかを物語っています。
太陽光線が1日のリズムづくりにひと役かっていることを示す面白い実験データがあります。実験を行ったのは、ノースカロライナ大学の研究グループ。彼らは、日光浴によってつくられる皮膚組織中のホルモン【ソリトロール】が、松果体ホルモンの【メラトニン】と反応することによって、昼と夜のボディリズムと、それに合わせた心の変化、さらには1年を通した季節的なカラダの変化までもを調節していることをつき止めました。疲れやすい、やる気がでない、あるいは夜すんなりと眠れない…などの症状には、速効性のある日光浴が有効です。
※参考文献=「LIGHT」(by Jacob Liberman/Bear&Company Ink 1991)
イギリスとフランスを隔てるドーバー海峡。そのフランス寄りに位置する英国領ジャージー島では、紫外線の浄化作用を使って汚れた海を美しく蘇らせる…という、環境保護の試みが功を奏して評判を呼んでいます。島のセント・オービス湾は、かつて、汚染された生活排水が原因でバクテリアが異常発生し、とても泳げるような場所ではなかったそうです。湾を蘇らせるために、独立政府が目をつけたのはなんと、UV光線……。各家庭から出た生活排水を1カ所に集めて、特殊な透明のパイプの中に流し、そこにまんべんなく強力な紫外線を照射しました。その結果、湾の水質は劇的に改善され、今ではサマーシーズンに多くの水着の観光客で賑わうまでにきれいになったといいます。
ヘリオテラピーという言葉を聞いたことがありますか? これは、ギリシア神話に登場する太陽の神・ヘリオスの名をとったもので「太陽療法」という意味。その名の通り、太陽光線(特に紫外線)を病気の治療に役立てようというもので、20世紀の初頭に誕生して一時はヨーロッパでかなり広範に用いられました。 1900年当時の研究データをみてみると、血圧に関する面白い記録が残されています。紫外線の照射を受けると、高血圧症の場合も、そうでない健康なケースにおいても、被験者の血圧がみな一様に下がった、というのです。しかも、わずか1回の照射で効果が現れ、その状態は4〜5日に渡って持続した、といいます。
※参考文献=「LIGHT」(by Jacob Liberman/Bear&Company Ink 1991)
タバコの煙がその大きな要因のひとつではないかとみられているアテローム性動脈硬化……。これは、血管内の壁にコレステロールが沈着して、血管の中を狭めたり、時として完全に塞いでしまう、脳卒中や心筋梗塞の直接的な原因ともなる危険な症状です。しかし、事が血管の中で起こっているだけに、なかなか自覚しづらいのもまた事実です。
ロシアで、このアテローム性動脈硬化を患う169人の被験者を対象に、紫外線を使った光線治療が行われて大きな成果を上げた、という記録があります。1年間の治療の結果、被験者全員が症状を改善させて、中には見事、仕事に復帰できたケースもあったそうです。同様の報告は、その他の研究でも得られています。
血液中の悪玉コレステロール【LDL】が、何らかの理由で変質すると、白血球の一種【マクロファージ】がそれを“異物”と認識して、血液中から取り除くために食べて捕獲します。しかし、それを食べ過ぎたマクロファージの中には、自らも変質して、コレステロールを抱えたまま血管細胞の隙間などに入り込んで、硬く沈着してしまうものがあります。 実験結果を考察すると、紫外線は、この一連のプロセスのどこかに、あるいは沈着した後に血管細胞が再生する過程に働きかけるのではないか? と考えられます。
※参考文献=「LIGHT」(by Jacob Liberman/Bear&Company Ink 1991)
近年、「日光によって皮膚癌のリスクが高まる」というマスコミ報道が蔓延しています。そのため、特に日本女性の間に、日傘に帽子、長袖に手袋を身に付けて完全防備する姿が多くなりました。ところで日光の紫外線は本当に有害なのでしょうか?
日光の紫外線は、一方的に有害とはいえません。
日光の生理作用と、ビタミンDの研究で有名な、アメリカ・ボストン大学医学部のマイケル・ホリック博士(Dr.Michael Holick:内分泌学、皮膚学、生理学、生体学教授)の研究によると「全身をベールで覆って生活しているアラブ女性は、皮膚が日光を浴びないために、体内のビタミンDが慢性的に不足していて、骨軟化症や骨粗しょう症を引き起こす人が非常に多い。また、ビタミンDの不足は、タイプ1の糖尿病や、結腸ガン、乳ガン、前立腺ガン、子宮ガンなどの発病の確立を高くしている」と、指摘しています。
また、日光の紫外線には皮膚の免疫能力を維持させる働きがあります。日傘やサンスクリーン剤で日光の紫外線を避け続けていると、免疫力が低下するばかりか、免疫システムが異常を起こして、アトピー性皮膚炎や花粉症にかかりやすい体質になります。
さらにまた、日光を浴びない生活を続けていると、正常なボデイリズムが刻めなくなり、ウツ症にかかりやすくなります。
今、多くの日本女性は、さまざまなもので全身を覆い、紫外線から身を隠していますが、果たしてそれが本当に健康的なライフスタイルといえるのでしょうか。
現代日本人の気力の無さ、体力の低さは、日光(紫外線)を避けていることが原因の一つなのです。
ビタミンDは、皮膚が太陽の紫外線のエネルギーを吸収することで生成されます。
ビタミンDは、ビタミンの一つと思われていますが、生理学的にはホルモンの働きをしています。そのため、サンシャインホルモンと呼ばれています。一人の人が必要とするビタミンDの80〜100%は、日光を浴びることから得られると考えられています。
食品中では、タラ、サメ、マグロなどの魚油の中にもビタミンDが含まれていますが、それらから、ビタミンDの必要量を得るためには、週に3〜4回は食べなければなりません。
近年、マスコミによる「日光によって皮膚癌のリスクが高まる」という報道が、人々を太陽から遠ざけるように仕向けてきました。その結果、多くの人々がビタミンDの不足におちいっています。
カルシウムは、骨格を形成する材料であるとともに、細胞の生命活動、筋肉の収縮、神経の伝達、脳の機能維持など、人体の生命に欠かせない重要な役割を果たしています。
海中で生息する脊椎動物は、カルシウムをたくさん含んだ海水を利用してきました。その後、進化の過程で地上に上がった生物は、海水のカルシウムが得られなくなったために、カルシウムの吸収を助けるビタミンDを皮膚で合成するようになりました。
それ以来、3臆年以上にわたって、生物はカルシウムの吸収のために、日光の紫外線のエネルギーを利用してビタミンDを生体内で作ってきました。
ビタミンDは、カルシウムの代謝を調節する役目をしており、同時に、リン酸塩の代謝を調節しています。
ビタミンDは、腸管でカルシウムが吸収されるのに欠かせない物質です。また血液中では、骨の形成(化骨作用)に必要なリン酸カルシウムの形成を促がしています。
ビタミンDは、肝臓においてカルシウム結合蛋白の合成を促進させて、骨組織にカルシウムを沈着させる助けをします。
ビタミンDは、細胞の育成のコントロール、筋肉の機能、神経の伝達機能、心臓・血管、そして免疫にも影響を与えています。
ビタミンDが不足すると、カルシウムとリン酸塩の吸収が阻害されて、骨の形成(化骨作用)が低下します。
その結果、子供には「クル病」を、大人には「骨軟化症」「骨粗しょう症」を引き起こします。
重病のクル病では、乳歯、永久歯ともに欠損し、筋肉組織や結合組織、靭帯系までもが犯されてしまいます。
ビタミンDが不足すると、「タイプ1の糖尿病」になる可能性が高くなります。
ビタミンDが不足すると、結腸ガン、乳ガン、前立腺ガン、子宮ガンなどの発病の確立が高くなります。
からだには、外敵から身を守るために、さまざまな形で免疫システムが張りめぐらされています。からだを外側で守っているのが「皮膚」です。皮膚は、暑さ・寒さや、細胞の乾燥、寄生虫や有害菌の侵入などから、生体を守るための、からだの中で一番大きな免疫器官なのです。
からだの免疫機能は、身近に「敵」がいることによって成り立っています。からだの仕組みには、必要が無いと思った機能を消していく特性があります。常に免疫の防衛体制がなければ、いざという時に身を守ることができません。そこで「敵」を利用しながら、免疫システムを維持している…というわけです。
例えば、体内で一番重要な免疫システムは、食物成分の吸収口である「小腸」に張りめぐらされていますが、その免疫機能は腸内細菌という「敵」の存在によって維持されています。腸内細菌の生息数の少ない人は、免疫能力が低いために感染症にかかりやすく、また、免疫の異常反応による花粉症やアトピー性皮膚炎にかかりやすくなります。
それと同様に、皮膚の免疫機能は紫外線のエネルギーを浴びることによって、維持されています。したがって、適度に紫外線のエネルギーを浴びて、皮膚の抵抗力を維持しておくことが必要なのです。
ドイツを始めとするヨーロッパでは、アトピー性皮膚炎の治療に、紫外線療法が用いられています。もちろん、皮膚炎の状態によって、ステロイド剤治療や保湿剤治療が併用されています。
紫外線治療は、患部に紫外線B波の中の、一部の波長領域の光線を照射するもので、小さな炎症には小型の照射器を使用し、全身の炎症には全身用の大型の照射器を使用しています。
紫外線がアトピー性皮膚炎に及ぼす効能の一つは、紫外線のエネルギーが、本来、皮膚が持っている免疫機能を再生させることです。また、紫外線を浴びると皮膚の角質が肥厚するため、皮膚が強くなります。紫外線には殺菌力があるので、炎症に寄生する細菌を殺して、炎症の進行を防ぐ働きもします。
紫外線治療には、トメサ療法のように、塩水のプールに入ってから紫外線を照射する場合もあります。塩水には紫外線に対する皮膚の感受性を高める作用があります。夏に海水浴したら、アトピー性皮膚炎が治った、という話をよく聞きますが、これはトメサ療法と同じ理屈なのです。