海外のタンニング事情

北欧の常識:寒い冬は南国で日光浴 [2011.10.20]

暗い冬は日差しを求めて南に避難

北欧の冬は長い。1年の半分は冬だと言われる北国では、若者からお年寄りまでが暖かいスペインなどの南国へ旅行に出かける。北欧人のいう「南国」というのは、スペイン領のグラン・カナリア島、クレタ島をはじめとするギリシャなど。あまりに多くの北の人々が南へと旅行や退職後に永久滞在するため、例えばスペインなどにはノルウェー人コミュニティが形成されている。そこではノルウェー語が話され、ノルウェーの新聞VGなどを簡単に購入することができ、5月17日の憲法記念日にはお決まりのパレードの行進を見ることができる。「南へ行く」という表現があるくらい、日差しを求めて旅立つことは北欧では常識だ。

若者は小麦肌を求めて南国へ

タンニングスプレーやブラウンパウダーなどで自分で小麦肌をつくりだすことも可能だが、「南国で日光浴して小麦肌をゲットする」ことが若者の間では一番ステータスがある。寒くて暗い母国から抜け出し、海外で海と日差しをエンジョイし、休暇中に海外旅行に行くことが、「金銭的にも余裕がある」と見なされる。長い休みの間にずっと母国に留まっていることは「クール」ではないのかもしれない。
冬休みを利用して約1か月タイへ旅行に出かけたノルウェー・オスロの女子大生キーネ(写真上)。日本のように「美白」を美とするタイでは、当初まだ肌が白かったキーネに対して「素敵な肌ね!」と褒めたたえるタイの女性たちが絶えなかったそうだ。ところが、数週間後に浜辺やプールで「青白い」肌を消すために一生懸命に日光浴し続け、肌が茶色くなったキーネ。小麦肌のキーネを見たタイの女性たちが発した言葉は、(額に皺を寄せながら)「・・・タイ人みたいに日焼けした肌ね」。反対に、ノルウェーに帰国後、コンガリと焼けたキーネを見て、白い肌のノルウェーの友人たちは「オー!日焼けしたのね!羨ましいわ!」と絶賛の嵐。これはまさにアジアの美白信仰と北欧の小麦肌信仰の違いを表している。

【ライター/鐙 麻樹】